<Header>
<Author: 王維>
<Title: 過香積寺>
<Format: 格式不明>
<Year: 1988>
<BookName: 唐詩三百首詳解  上卷>
<Translator: 田部井文雄>
<style: 現代文有假名>
<style2: 日本現代譯文附假名標注>
<TranslatedTitle: 香積寺に過る>
<BookPage: 128>
<UsedPage: 1>
<Feature: 0>
<End Header>
<Poem>
不知香積寺，
數里入雲峰。
古木無人逕，
深山何處鐘。
泉聲咽危石，
日色冷青松。
薄暮空潭曲，
安禪制毒龍。
<End Poem>
<Translation>
香積寺（こうしゃくじ）への道（みち）は知（し）らなかったが、雲（くも）のかかった高（たか）い峰々（みねみね）の中（なか）に、いつのまにか数里（すうり）も深（ふか）くわけ入（はい）っていた。あたりには古木（こぼく）が生（は）い茂（しげ）るばかりで、人（ひと）の通（とお）う小道（こみち）もなく、その深（ふか）い山（やま）の奥（おく）から聞（き）こえてくる鐘（かね）の音（おと）は、どこで打（う）ち鳴（な）らしているのであろうか。その鐘（かね）の音（おと）をたよりにさらに進（すす）めば、泉（いずみ）の水（みず）は高（たか）く切（き）り立（た）った岩（いわ）に当（あ）たって、むせぶような響（ひび）きをたて、日光（にっこう）は緑（みどり）の松（まつ）にさして、冷（さめ）たい色（いろ）あいを見（み）せている。

ふと気（き）がつくと夕暮（ゆうぐ）れの薄暗（うすぐら）がりの中（なか）、人（ひと）の気配（けはい）のない静寂（せいじゃく）の淵（ふち）のほとりで、心静（こころしず）かに座禅（ざぜん）を組（く）みながら、毒竜（どくりゅう）  人（ひと）に害（がい）をなす竜（りゅう）すなわち、おのれの煩悩（ぼんのう）を封（ふう）じこめている一人（ひとり）の僧（そう）の姿（すがた）があった。
<End Translation>